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歯科心身症・2
ストレスと歯科における心身症
ある商店主が、奥歯の決まったところに痛みとはれを訴えてきました。ところが痛みとはれが起こるのは、いつも手形期日の切迫したころに当たり、他の期間は不自由はないといいます。本人も「歯のほうが手形の期日をよう覚えてくれとりますわ」という笑い話(?)のような話がありました。
心身症は、ストレスと密接な関係があります。口腔(こうくう)は情緒の影響にとくに敏感で、ストレスへの反応も過敏です。歯科領域の心身症としては、口臭症(自臭症)、舌痛症、顎(がく)関節症、開口障害、口腔乾燥症、口腔内異常感症、顔面不定疼痛(とうつう)症、歯科治療恐怖症状、味覚異常症(異味症)、義歯不適応症、義歯ノイローゼなどという病気があります。先ほどあげた例以外にも、口臭を指摘されたのち、電車の中で近くにいる人が手を口元へもっていくのをみて自分に口臭があると思い込み、歯科のほか内科や耳鼻科を受診してもなんの異常もなかったという例や、家族問題で悩んでいた主婦が歯の治療をきっかけに、甲状腺(せん)障害として現れた心身症が顎関節症に転移した例などがあります。
現代社会に生きる私たちの日常生活は、常に適応することが求められており、すべての人が多かれ少なかれ常にストレスのもとにおかれています。しかし同じ環境にあっても、おる人は心身症になるのにある人は健康でいられるのは、その環境に十分適応できずにそれを有害なものとして受けとめた人だけが、意識するしないは別として自律神経系や内分泌系の異常反応を起こして症状が現れるということです。
つまりストレスの原因としては、その人を取り巻く刺激の種類、程度、期間などもおおいに関係しますが、それよりも刺激に対するその人の受けとめ方(性格)がより強く関係するというわけです。
心身症は、子どもからお年寄りまで、高度文明社会の中でますます増えつつある病気です。昔から「病は気から」といわれますが、これからはお口や身体の健康はもちろん心の健康にも気を配りたいものですね。




 

医歯薬出版株式会社出版「歯にいいはなし」より