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唾液の働き
よく噛むと癌(がん)を防げる
動物がけがをしたとき、傷口を舌でなめていますね。また私たちも、指先をけがしたとき、思わず口に含んでいることがありませんか?傷口をなめると、傷に付いた汚れがきれいになるとともに、唾液の中にある抗菌物質の作用で、感染を防止し、傷の治りが早くなります。このことを動物は本能的に知っているのでしょう。
さて、私たちの唾液は、耳下腺・舌下腺・顎(がく)下線の大唾液腺と、口腔(こうくう:口の中を意味する)粘膜にある小唾液腺で作られ、一日に約1.5リットル分泌されるといわれます。この量は一日に出る尿の量に匹敵します。
この唾液は、食べ物の消化と嚥下(えんげ:食べ物を飲み込むこと)がうまくできるように働いています。そのほか、口の中を湿らせることによって、舌の運動を滑らかにして発音を助けたり、口腔に生息する微生物の生育を抑制して、感染症にかからないように防御しています。また、むし歯にならないよう口の中を洗浄したり、歯を保護する膜を作る働きもあります。だから唾液の出なくなる病気(自己免疫疾患であるシェーグレン症候群など)にかかると、あっという間に全部の歯がむし歯になってしまうこともあります。
ところで最近、唾液の作用で注目される研究が発表されました。同志社大学の西岡先生の研究結果によれば、食品添加物などに多い発癌性のある物質も唾液に三十秒間つけると、その発癌性が数十分の一になることがわかりました。よく噛みよく咀嚼(そしゃく)して、食べ物と唾液がよく混ざりあうことが、癌予防にも役立つことがわかったのです。
下顎をしっかり動かして咀嚼すると、反射的(無意識)に唾液の分泌が増加します。また、よく噛んでゆっくりと食べ物を味わうと、味覚の動きで、反射的に唾液がたくさん分泌されてきます。楽しくおしゃべりをしながら食事をすることも、唾液の分泌を多くするといわれています。
よく噛みゆっくりと食事をすることは、このような唾液の動きを十分にするためにも大切なことです。

  

医歯薬出版株式会社出版「歯にいいはなし」より