お口の渇き感じていませんか?

高齢者に多くみられる口腔乾燥症について、その現状や要因を把握することを目的に、香川県歯科医師会では令和4年度より70歳以上の外来受診高齢者を対象に実態調査を行っております。

その結果、口腔乾燥症はいくつかの要因が関連していることがわかりました。また、本対象者において原因除去のための生活指導や機能訓練の継続などにより口腔粘膜水分量の改善を認めることができましたのでご報告いたします。

目次

口腔乾燥とは

口腔乾燥とは自覚的な口腔乾燥感または他覚的な口腔乾燥所見(唾液の量的減少と唾液の質的変化)を認める兆候を指し、口腔が乾燥する事で食事に支障が出たり、舌や口腔粘膜の炎症が起きやすくなったり、プラークが付着しやすくなる事で、むし歯、歯周病リスクが増加してしまいます。

口腔乾燥のリスク図

口腔乾燥症と全身の健康の関係

口腔乾燥の自覚がある人の割合

歯科医
香川県歯科医師会が令和4年度に行った調査の結果、次のことがわかりました。

ポイント

  • 高齢者の約半数が「口の渇き」を感じています。
  • 年齢が高いほど「口が乾く」と答える人が増えています。

口腔乾燥の自覚がある人の割合

調査件数 常にある 時々ある ない 未回答
男性 192人 15人
(7.8%)
80人
(41.7%)
92人
(48.4%)
4人
(2.1%)
女性 325人 42人
(12.9%)
149人
(45.8%)
129人
(39.7%)
5人
(1.5%)
全体 517人 57人
(11.0%)
229人
(44.3%)
222人
(42.9%)
9人
(1.7%)
口腔乾燥の自覚がある人の割合グラフ:全体 口腔乾燥の自覚がある人の割合グラフ:男性 口腔乾燥の自覚がある人の割合グラフ:女性
  • 常にある・時々ある 55.3%
    (男性49.5%、女性 58.7%)
  • 約半数の者が口腔乾燥を自覚していた

年齢別

口腔乾燥の自覚がある人の割合グラフ:70~74歳 口腔乾燥の自覚がある人の割合グラフ:85歳以上
  • 70~74歳では54.2%の人が口の渇きを自覚
    (常にある:7.1%、時々ある:47.1%)
  • 85歳以上では60.0%の人が口の渇きを自覚
    (常にある:21.4%、時々ある:38.6%)
  • 年齢が高い人の方が、口腔乾燥の自覚が「常にある」割合が高い(約3倍)

「口腔水分計ムーカス」測定結果での該当者

歯科医
香川県歯科医師会が令和4年度に行った調査の結果、次のことがわかりました。

ポイント

  • 高齢者の約5人に1人が口腔乾燥症と判定されています。
  • 年齢が高いほど増え、85歳以上では3人に1人です。

口腔乾燥症判定割合(ムーカス測定値27.0未満)

口腔乾燥症判定割合(ムーカス測定値27.0未満)グラフ:全体 口腔乾燥症判定割合(ムーカス測定値27.0未満)グラフ:男性 口腔乾燥症判定割合(ムーカス測定値27.0未満)グラフ:女性
  • 全体では21.9%、男性24.0%、女性20.6%がムーカス値27.0未満(口腔乾燥症判定)だった

年齢別

年齢別口腔乾燥症割合

年齢別口腔乾燥症割合グラフ
  • 年齢別では70~74歳が20%に対して、85歳以上の者は31.4%と高かった

改善プログラムの効果

歯科医
香川県歯科医師会が令和4年度に行った調査の結果、次のことがわかりました。

ポイント

  • 改善プログラム実施後、全体の約6割に改善が見られました。
  • 70~74歳では約8割が改善しています。
  • 85歳以上でも約6割が改善しており、年齢が若いほど改善率が高い傾向があります。

実施前後口腔乾燥症判定割合

調査件数 ムーカス値
27.0未満
ムーカス値
27.0以上
スクリーニング
1回目
647人 298人
(17.4%)
1,010人
(59.1%)
スクリーニング
2回目
1,062人 58人
(65.9%)
29人
(33.0%)
スクリーニング
3回目
1,709人 22人
(48.9%)
23人
(51.1%)

※ムーカス値27.0未満について
簡単な機能訓練のみでの改善が難しい「シェーグレン症候群」、「頭頚部放射線治療」に該当の患者情報は今回の集計には含めていない。

改善プログラムの効果(全体)

改善プログラムの効果(全体)グラフ
  • 1回目のスクリーニングでは21.5%が口腔乾燥症の判定となった。
  • 4週間の改善プログラムを実施し2回目のスクリーニング を実施した人の内60.5%に改善がみられた。

スクリーニング1回目のムーカス値27.0未満の者を対象に、
改善プログラムを通して個々のムーカス値がどのように変化したかについて
(シェーグレン症候群、頭頚部放射線治療に該当する者は除いた)

ムーカス値の変化グラフ:n=43 ムーカス値の変化グラフ:n=15
矢印
改善プログラム実施4週間後のスクリーニング2回目、実施8週間後の3回目においてムーカス値27.0を超える者が増え、改善効果が認められた。

年齢別

改善プログラムの効果(70~74歳)

改善プログラムの効果(70~74歳)グラフ
  • 70~74歳では、スクリーニング1回目で18.9%が口腔乾燥症の判定。改善プログラム実施4週間後のスクリーニング2回目では81.0%に改善が見られた。

改善プログラムの効果(85歳以上)

改善プログラムの効果(85歳以上)グラフ
  • 85歳以上では、スクリーニング1回目で31.4%が口腔乾燥症の判定。改善プログラム実施4週間後のスクリーニング2回目では60.0%に改善が見られた。
矢印
年齢が若い方が改善プログラム実施4週間後のスクリーニング2回目で改善した人の割合が高かった。

「口腔水分計ムーカス測定値27.0未満」
あるいは「口腔乾燥の自覚がある(常に・時々)」の
どちらかに該当している人に関して

(以下、「該当」、それ以外を「非該当」)

歯科医
香川県歯科医師会が令和4年度に行った調査の結果、次のことがわかりました。

ポイント

  • 多くの人がストレスや噛む力の低下 を感じています。
  • 口呼吸の習慣がある人が目立ちます。
  • 血圧降下剤を服用している人は半数以上 です。

ストレスを常に感じることがありますか?

常にある 時々ある ない 合計
該当 48人 163人 116人 327人
非該当 21人 61人 98人 180人
合計 69人 224人 214人 507人
  • 該当者がストレスを感じている
  • 該当者においてストレスが常にある者が14.7%、時々ある者が49.8%
  • Wilcoxon検定 p=0.0002

咬む力が衰えたと感じることがありますか?

常にある 時々ある ない 合計
該当 42人 126人 159人 327人
非該当 18人 53人 110人 181人
合計 60人 179人 269人 508人
  • 該当者が咬む力が衰えてきている
  • 該当者において咬む力が衰えたと常に感じる者が12.8%、時々ある者が38.5%
  • Wilcoxon検定 p=0.0316

口呼吸をしますか?

常にある 時々ある ない 合計
該当 42人 115人 150人
非該当 11人 52人 103人 166人
合計 53人 167人 253人 473人
  • 該当者が口呼吸をしている
  • 該当者において常に口呼吸をしている者が13.7%、時々している者が37.5%
  • Wilcoxon検定 p=0.0089

血圧降下剤を飲んでいますか?

飲んでいる 飲んでいない 合計
該当 169人 159人 328人
非該当 71人 110人 181人
合計 240人 269人 509人
  • 該当者が降圧剤を飲んでいる
  • 該当者において血圧降下剤を飲んでいる者が51.5%
  • Peasonのχ2検定 p=0.0078

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